先日、「都市と投資」というテーマで投資についてのレポートを書いてみました。
その後、他大の友人から講義資料を頂いたので(河馬さん本当に感謝です)、それも踏まえた上で大幅に修正し、環境学の小レポートに転用しようと思います。
転用というか・・・「都市」というのは人文地理学を学ぼうと思っている者にとっては永遠の課題であると思うので、様々な方面からの視点を加えて修正しつつ修正しつつ、常に自分の中に一定の語り方を持っておかなくてはならない。と、思います。
1950年代から現代にかけて、都市は拡大を続けている。都市化には労働力の集中やサービスの充実など、様々な利点がある。環境に関して言えば、輸送費の削減が最大のメリットとして挙げられる。しかし、高層化に伴い出現する都市キャノピー層、それにより引き起こされるヒートアイランド現象が電力需要を増加させることなどを考えると、一概に都市化が環境に良いとばかりは言えない。これからは「都市化」という現状を踏まえた上で、その問題点を精査し、新たな都市構造を立案・具現化してゆくことが必要となってくる。
まず我々が注目しなくてはならないのは、ベルグとクラッセンの発展段階モデルに沿った都市の発展と、それに伴う郊外の無秩序な拡大である。再開発により近年ようやく再都市化のきざしが見え始めてきた東京は、1950年代から1990年代前半にかけて郊外化→反都市化という段階を経てきた。このことはインナーシティ問題やスプロール現象・ドーナツ化現象の発生を意味し、それらの問題は現代における都市ー郊外といった職住分離構造の大本となっている。このような構造は、通勤・通学などに多くのエネルギーを要するという欠点を持つ。これでは、輸送コスト削減という都市化のメリットが十分に活かされない。
次に、これまでの政策が都市と環境に与えてきた影響に着目する。政府は不況対策として、道路建設や固定資産の減税による持ち家の推奨を行ってきた。これは郊外化を押し進めること、すなわち環境破壊の拡大に繋がった。
以上のような点をふまえ、これからの都市政策について考察する。都市化自体が悪なのではない。初めに述べたように、都市化には都市化ならではのメリットも多く存在する。問題は、無秩序な郊外の拡大による職住分離、それによる移動エネルギーの無駄である。このようなエネルギーの無駄使いは結果的に、環境破壊に繋がる。従って、都市化の利点を活かしつつ環境破壊を防ぐため、郊外から都心部に人が集まるようにし、かつヒートアイランド現象が起こらないようにする政策が必要だ。現在行われている都心再開発は、バブル崩壊による地価下落による。また、都心部における急激な人口増加は保育所の不足などの問題を引き起こしている。行政は、都心の地価が上昇しすぎて家が借りにくくならないよう、またサービスの不行き届きが出ないようにするよう、投資を行っていくことにより、都心部に人口を集中させることができる。また、道路開発の裏でないがしろにされてきた公共交通への投資や公共の建物のエコ化への投資、新エネルギーへの投資、風通しを考慮した区画整理への投資などを行い、集住により発生する環境への負荷をなるべく減らすようにする。このようにして、都市化のメリットを活かしながらエコを実現させ、更には不況対策まで行うことができる。そして景気回復の度合いに応じ、技術の革新・普及への投資やエコ企業を推奨するための投資、エコ消費者を育成するための投資へと発展させてゆく。都市を持続的なエコシティとして再構築することが、21世紀を生きる我々には求められているのである。
地理学は、究極的には都市設計。世界設計。人類が幸せに生きる為のシステム設計。そういったものに繋がると、信じています。
いより
追記:
ちょっとだけ修正しました(7/9)。
自家用車乗り入れ禁止とかコンジェスチョン・チャージについても触れたかったんですけど、どうも文脈的にうまく入らなかったです(投資じゃないし、経済的には寧ろマイナスっぽい感じがするし)・・・。