「豊かさとは何か」暉峻 淑子

おはようございます。
クーラーをつけると体調が悪くなるので、我慢できるギリギリまで汗をかいてから冷水シャワーを浴びるのが最近お気に入りです。

今回は「豊かさとは何か

うちの大学の教授にオススメされた本です。
本としては、かなり古い。1989年に第1刷発行、となっていますから。日本の比較対象として主に取り上げられている事柄も「西ドイツ」のものですし。

「日本は豊かな国である」。数字から見れば、確かにそうです。テレビなどで見聞きする第三世界の国々の生活と比較しても、我々の生活は豊かである、と言わざるを得ない。特に、この本に書かれている時代の日本はバブル崩壊前で、ブランドものの衣服とか、海外旅行だとか、物だって直ぐに捨ててしまう、そういった俗物的な「豊かさ」が満ちあふれていた。
現代の若者はお金を余り持っていない、使わない、ということがよく言われます。でも、それって逆に言えば、お金さえ持っていればその時代に逆戻りしてしまう、ということ? 「オタクが日本経済を救う」なんてこともよく言われますが、例えばAKB48のCDに付属したチケットを集めるために何枚もCDを購入するような方々、彼らは景品に釣られて必要以上に大量消費したりしているわけでしょう。その大量のCDを生産するために、どれだけの資源が使われているのか? ハッキリ言って、虚業。このような現状は、本当に「豊か」と言えるのか?
こう考えると、豊かさというのは、お金を持っている、持っていないの問題ではない、と考えられます。

こうした大量消費が行われている一方、日本では、ワーキングプアとか、病気などで失業した方々の再就職先が見つからないといった問題も発生しています。保育園や老人介護施設の不足といった問題もあります。しかし現在、新自由主義(ネオリベラリズム)、政府はなるべく経済に介入するべきではないといった考え方の台頭により、公共事業や公共サービスなどの削減が行われています。

生活に安心できないので、お金を貯める。その為に働く。そうした人生は豊かとは言えない、と著者は主張します。
緑に囲まれ、余暇を楽しむゆとりがあって、住居にも教育にも健康にも老後にも不安がない。そうした環境の中で、真に人間らしい生き方が可能なのではないか。経済活動も、その基盤となる国民の生活があって初めて安定するものなのではないか。

パイを大きくするには、まず大きなお皿が必要、ということでしょうね。
公共事業や公共サービスの非効率性などはよく指摘されますが、なくてはならないものであることは確か。
資本家が投資に回す分、労働者が報酬として受け取る分、社会を改善してゆくために国に納める分・・・最適な富の配分バランスって、どのようなものなんでしょうね?

いより

About Morimoto Iyori

東京暮らし1年目の大学生です。 岡山出身。古典文学好き。地理学専攻予定。 読んだ本、日常生活で発見したことなどを書き綴ってゆく予定です。
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