「権利のための闘争」イェーリング

権利のための闘争
(題辞ーー闘争において汝の権利=法を見出せ)

「権利=法の目標は平和であり、そのための手段は闘争である」
 ・・・闘争は権利=法の本質である。何故なら全ての権利=法は闘い取られたものであるから

「自分の権利が侵されるということは、自分の人格までもが侵されるということを意味する」
 ・・・少額の利益のために膨大な費用をかけてでも訴訟する、盗んだ物を返せばそれでいいとはならない

「権利のための闘争は、権利者の自分自身に対する義務である」
 ・・・人間は肉体的のみならず倫理的なものとして生存する、人間は自らの生存条件に対する攻撃を跳ね返す義務がある(権利によって抽象的に保障されているだけでは不十分であって、権利主体がそれを具体的に主張することが必要)

「権利の主張は国家共同体に対する義務である」
 ・・・法規範に実行を伴わせる必要がある。法律が適切に防衛されなければ正直者が馬鹿を見ることになる、無法状態を放っておくことは「裏切り」である

→「権利者は自分の権利を守ることによって同時に法を守り、法律を守ることによって同時に国家共同体の不可欠の秩序を守る」、自己の権利を主張するということは気高いこと

→→権利=法の理念をもっぱら理念そのもののために実現することが国家の最も神聖な義務であり、かつ、国家の利益となる

 法的に権利を侵害されたならば恐れずに主張するべきである、何故ならそれが自分のみならず法全体、国家共同体全体の為になるから。また、現代の法の中で権利=法の理念を実現していないもの(=人々に不公正を押し付けているもの)は闘争によって改正されていくべきである。

 何が正しいか・正しくないかは自分で判断して、正しい規則への違反や正しくない規則に対しては積極的に闘争してゆこう、という話だと思った。
 自分の権利感覚を研ぎすましておくことが、社会全体のためになるんですよね。
 実際に実行するのは難しいかも知れないけれど、「バカを見ている正直者」が読むと頭の中がスッキリする、そんな本。

いより

About Morimoto Iyori

東京暮らし1年目の大学生です。 岡山出身。古典文学好き。地理学専攻予定。 読んだ本、日常生活で発見したことなどを書き綴ってゆく予定です。
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